タラワ慰霊巡拝の旅

祖父の戦没地であるギルバート諸島タラワでの慰霊巡拝の記録です。

申込・決定・準備

今回慰霊巡拝に参加するにあたり、その手続きや流れ等わからないことが非常に多くありました。 厚生労働省のHPを見ても、日程などは記載されていますが、実際の手続きがどう進むのかについては全くわかりませんでした。 今後慰霊巡拝への参加を考える方がいらっしゃったら参考にしていただければ幸いです。

参加資格 厚生労働省が実施している慰霊巡拝の参加資格は、戦没者の配偶者、父母、子、兄弟姉妹、そして、応募人数が募集人員を下回った場合 に自費参加に限り、参加遺族(子・兄弟姉妹)がいる配偶者及び孫となっています(2011年3月時点)。孫世代の参加については、私の 参加した2010年度から認められるようになったそうです。「自費参加」対象でない参加者の方に対しては、公務員の出張手当に準じた費用の1/3が補助されます。
募集は各都道府県及び市町村の担当窓口を通して行っています。私はインターネットで開催を知り、住んでいる県の担当課に電話で問い合わせをして申込書を送ってもらいました。 後から聞いた話ですが、市町村への問合せの場合専任の窓口がない場合も多く、問合せをしても役所の方自体が制度についてよくご存じでないことも あるそうです。取りまとめをしている都道府県庁への問合せのほうが間違いないかもしれません。
スケジュールは毎年4月頃に発表されているようです。市町村等の広報で発表をされているようですが、気付かない場合もあると思いますので、直接電話で問い合わせてみた方がいいかもしれません。
また、こまめに厚生労働省のHPをチェックしてみてください。
ちなみに、2010年度については、最も早い巡拝の実施が8月21日〜、在住県の申込締切日が5月14日になっていました。
ギルバート諸島については、開催が2011年2月26日〜3月4日で、在住県の申し込み締切は10月19日でした。
費用の概算は261,000円。最終決定は出発前かなりギリギリになるとのこと。参加人数や行程、宿泊場所により上回ることもあると記載されていました。
参加費用は渡航地によりかなり違いがあります。2010年度については、国内(硫黄島)を除くと、最も安い巡拝地でマリアナ諸島の186,000円、最も高いものでインドネシア(1班)の559,000円でした。
通常の海外旅行と比較すると割高な印象ですが、慰霊巡拝での訪問先は観光地から外れた場所も多く、地域によっては危険も伴います。 個人の力だけではとうてい行けないような場所も多いので仕方がないと思います。
私の目的地である、ギルバート諸島、現キリバス共和国へは直行便もなく、パッケージツアー等もほぼありません。 一般的なルートは韓国・フィジーを経由しての渡航となります。 治安は良い国ですが、個人で…となると手配だけでも一苦労です。
正直5泊6日の旅のうち、現地に2泊のみというのは淋しいのですが、キリバス―フィジー間の飛行機も週2日しか運航していない(2010年申込時点)ので仕方がないのでしょう。

以下時系列で手続きの進行について記載します。



2010年 9月21日在住県に申込書の発送依頼(電話) 
  9月22日申込書到着 
  9月26日申込書発送●申込書
●戦没者との続柄がわかる戸籍謄本等(写し可)
●戦没地がわかるもの(写し可)
 10月19日県の参加申込締切日この日程は都道府県により数日の違いあり
 12月24日参加可否について県の窓口に問合せ(メール)
【回答】年内に厚労省から県に返答が来る予定(メール)
 
2011年 1月 6日県から内定通知着要:医師の参加可能証明書(1月14日必着)
●旅行会社より渡航案内発送ありの記載
●決定後しおりの発送があると案内あり
  1月 8日病院にて証明書の発行をしてもらう同封の書式を使用
 書式不問。病院指定のものでも可
  1月11日県に証明書発送 
  1月17日パスポート申請 
  1月24日旅行会社に渡航案内未着の問合せ(電話)
【回答】今週中に発送予定
 
  1月27日パスポート受取 
  1月29日県より参加決定通知着
旅行会社から渡航案内着
県より供花代振込口座返信依頼書同封あり
 供花代は当日旅行会社に渡すよう指示
旅行会社から伺書(2月3日必着)
  2月 1日県に口座振り込み依頼書発送
旅行会社に伺書発送
旅行会社への発送書類
●伺書(連絡先・パスポートNo.等)
●1人部屋希望有無の書類
●海外旅行傷害保険申込書
  2月19日旅行会社よりしおり着最終決定の費用請求書同封あり(振込期限1月24日)
  2月21日代金振込 
  2月22日厚労省よりしおり着最終日程表、参加者名簿、留意事項
ギルバート諸島の概況・戦闘概要
※様々な記載がありわかりやすく丁寧な内容


少し補足。
上記にあるように、申込締切日から内定通知を受取るまでの間は非常に長いです。正直送った書類が届いていないのではないかと不安になりました。 後から他の参加者の方に聞いた話だと、今回の慰霊巡拝、申込者が少なかったため、催行中止の可能性もあったそうです。そういった判断にも 時間がかかったのかもしれません。
そして、実際に内定が決まった後も、各種書類の到着はとても遅いです。にもかかわらず、提出書類の期限は非常にタイトです。
まずは医師の参加証明書。6日に書類が届いて14日必着…余裕がある、なんて思ってはいけません。 何せ届いた6日は木曜、必着日の14日は金曜。平日フルタイムで仕事をしていて医療機関に行くことができないので、病院に行けるのは唯一8日の土曜日だけです。 しかもかかりつけのお医者様もおらず。結局時々診察を受ける総合病院に行ってお願いしました。担当の医師の方はタラワの戦いをご存じで、ご自身の生まれる前に戦争で亡くなった御親戚もいらっしゃるそう。快く(しかも無料で!)記入していただきました。 私は県から送られた書類に添付されていた参考書式をそのまま使用しました。内容は、既往症がある場合その内容や注意点、他は慰霊巡拝の参加に支障なしと記載してもらうだけの簡単なものです。
次の旅行会社への伺書。これは届いた29日は土曜日。記入自体は簡単ですが、1人部屋にするか否か、海外旅行損害保険をどうするか、熟考する時間はありませんでした。それ故1人部屋を希望して提出。この時点で他の参加者の方について何の知識もなく、もしご高齢の方と同室だった場合私の夜更かしや物音でご迷惑をおかけしてしまうことを恐れたためです。 ただでさえ移動も多い今回の旅、他の方にご迷惑をおかけする事だけは避けたい。もし他の方が体調面等で途中で1人部屋を希望されたり、同室を希望された場合は私が移動してもよし、そんな気持ちもありました。 ちなみに、ギルバート諸島の慰霊巡拝の場合、1人部屋追加代金は31,000円でした。これは渡航先や日数によっても異なります。
また、しおり等準備をする為に早く入手したいものが届いたのもかなりギリギリになってです。
身の回りのもの(衣料や日用品等)はとりあえずキリバスの気候を考慮しつつ適当に事前に準備していました。しおりには準備しておいた方がよい持ち物等の記載もあり、せめてあと1週間早く届けば…。 渡航先にもよりますが、今回訪れるキリバス共和国については情報も少なく、何が必要で何が不必要かを考えるのも大変でした。結果必要以上のティッシュや除菌ウェットティッシュを持って行ってしまいそのまま持ち帰る等余計な荷物も多かったです。
そして重要な慰霊のための品々。
お供物等は本来故人の好物を用意できればいいのですが、祖父の嗜好品は全く分からず…。元々が新潟出身だったため、この地域で作られているお酒やカキの種、さつまいもを甘く煮たお菓子、日本のお水を飲んでほしいと思い、富士山の天然水とお茶のペットボトル、そしてお線香を準備しました。
後は写真。幸いにも祖父の写真は残っていました。そして、どうしても一緒に連れて行ってあげたかった祖母の写真も合わせて写真立てに入れました。
その他蚊取り線香や虫よけスプレー、日差しが強いので日焼け止めや帽子、また、ホテル内のシャワーの床が清潔ではない可能性もあると記載があったため追加したサンダル等を準備しました。

最終的に決定した慰霊巡拝のスケジュールは下記になります。



2月26日 結団式成田泊
2月27日成田発
仁川着(韓国)
仁川発
 機内泊
2月28日ナンディ(フィジー)着 ナンディ泊
3月 1日ナンディ発
ボンリキ(キリバス)着
タラワ環礁周辺巡拝ボンリキ泊
3月 2日 タラワ環礁周辺巡拝
合同追悼式【南瀛之碑】前
ボンリキ泊
3月 3日ボンリキ発
ナンディ着
 ナンディ泊
3月 4日ナンディ発
仁川着
仁川発
成田着
解団式 


申込段階でいただいていた日程表には、2月28日に「在フィジー大使館表敬訪問」、3月1日に「キリバス政府関係機関表敬訪問」の記載がありましたが、消えていました。
何かの都合で中止になったのだと思いますが、特にキリバス政府関係機関表敬訪問が出来なくなったのは残念でした。何か話が聞けるのではないか、また、遺骨収集に関して話が出来る機会があるのではないかと期待していたからです。
タラワでの戦没者は4,600名程いらっしゃいます。そしてそのご遺骨はほとんど戻っていません。
今回私が参加したのは厚生労働省主催の巡拝でしたが、他、日本遺族会でも慰霊巡拝を実施しています。但し、戦没者遺児に 限られており、孫の参加は認められていません(2011年3月現在)。

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